練習時間が確保できないときほど理想状態を意識する

田畑裕哉 on 2015/05/08. Tags: , ,

先日は、楽器練習のPDCAについて言及しました。
このPDCAは、個人で練習するときにはよいのですが、
多人数一斉での練習や、合奏指導では、
もともとの個々の状態の違い(練習の進度や単純な技術レベルの格差)により、
PDCAサイクルを何回転もしなければ、全体として揃っていかず、
その、ある1つのサイクルも、必要な奏者と、そうでない奏者が出てきてしまいます。
そして、少しずつ確実にこなすためには、膨大な時間が必要になってきます。

では、多人数、合奏形式での指導の場合、かつ、
本番までに時間が無い場合、どのように考えればよいのでしょうか。
今回は、練習する側ではなく、指導する側・まとめる側の立場を考えてみます。

PDCAでは、奏法を計画して、少しやってみて、反省して、修正して、
そしてまたやってみる、ということを繰り返しながら理想の状態に近づけていきました。
時間がないときは、逆に、
理想状態を全員の共通認識として確定させて、
その理想の状態と個々の状態との差を、個々の奏者が認識して、
個々の課題設定に落とし込む
、ということを考えてみてはどうでしょうか。
これを「目標到達型」練習と仮にネーミングしておきます。

集合での指導となれば、
練習前の個々の状態がバラバラなので、
最初に取り組むべき課題はバラバラのはずです。
PDCAの場合はその初期状態を最小公倍数的に集約して、課題の的を決めなければなりません。

この「目標到達型」の場合は、
まず、理想とする状態の共通認識化に時間を割きます。
曲の解釈や奏法がどうあるべきかの理想の状態を、
奏者に等しく意識させることを第一の課題
とします。
そこから、
奏者自身に、その理想に至るための課題設定や練習の工夫を個々に求めるものです。
考え方は、下図のようにまとめることができます。

mokuhyo

ある程度の練習方法や課題解決の材料を
奏者があらかじめ知っておく必要はありますが、
最終目的地を明示している限り、
無駄な練習を敢えて選択する奏者はいないでしょう。
練習時間が確保できないときほど、
理想状態を強く意識し、
そこに短絡できる練習方法を、従来の練習の考え方にとらわれることなく、
奏者が個々に開発するのです。

実際の合奏などの指導場面では、
練習方法をうまく開発できずに伸びが鈍い奏者、
理想の状態を咀嚼できたつもりで少し違う方向に向かう奏者などが出てきます。
全体合奏のなかでの指導ではありますが、
そうした個々の状態を見極めつつ、
全体への発言であっても個々の状態に働きかけるようなヒントでなければなりません。
そうして、全体が理想の状態に収斂されるように
繰り返し理想の状態を伝えることが必要になると思います。


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