長野太郎さん製作のヴァイオリンを弾く@Kobe-Suma

田畑裕哉 on 2010/11/27

今日は、
ヴィヴィスキルキャンプ神戸 発足1周年特別企画
「若きヴァイオリン職人とそのしらべ」
というイベントの本番でした。

近代ヴァイオリンの聖地とも言うべきイタリア北西部のクレモナで、
15年にわたりヴァイオリン製作者として腕を磨く長野太郎さんを招いて
ヴァイオリン製作や、クレモナの街についての興味深いお話を聞く会でした。
そこで、長野さん製作のヴァイオリンを私が使わせてもらい、
高校オケの後輩である池田奈緒さんのピアノと一緒に、
演奏するという本番のステージでした。

今日は感想をたくさん書きますが…

まず、会場が須磨区の大久保邸という、個人のお宅でした。が、
須磨の海どころか大阪湾が一望できる須磨浦の高台のマンションの広いリビングで、
サロンコンサートとしては雰囲気の良すぎる場所でした。
今回は昼間で、海がキラキラときらめいていましたが、夜は夜で、
間違いなく素敵な雰囲気になることでしょう。

ですので、会場入りして早々に自ずから気分は高まります。

ピアノがまた1923年製のスタインウェイで、かなりのヴィンテージもので、
鍵盤が重いのではないかと心配していましたが、
池田さんにとってはそうでもなかったみたいでした。
良かった、良かった。
木曜日に練習したとあるバンド小屋のピアノよりは、確かに比にならないほど良かった。
とはいえ、池田さんにはピアソラの難譜を送りつけ、苦労させました。本当にありがとう。

何よりも、長野さんは魅力的な方で、お話も非常に興味深いものでした。
スライドでいろいろな写真を見せてもらいながら説明をしていただきました。

クレモナというところは、
あまり大きな町ではなく少し自転車で走れば畑があって(三田みたいなところ)、
400年や500年前の地図がそのまま使えるような町(京都みたいなところ)
だと理解しました。
地下駐車場を造るために掘削工事を始めたところ、
歴史的な埋蔵品がたくさん出土してきたので、
工期が2~3年遅れている(京都市営地下鉄東西線みたいな)ということもある、
歴史の長い町だそうです。

そんなクレモナでの職人生活は、日本で職人生活をするよりも、
長野さんとしては有意義だそうです。
日本でのヴァイオリン職人が別に食べるに困ることがあるとかそういうことではなく、
ある意味では仕事がありすぎるから…でしょうか、
アマチュア奏者や学生オケなど愛好家が非常に多く、
楽器の調整や弓など修理の仕事はひっきりなしに入ってくる、と。
そうすると、収入は得やすいけれども、自分の楽器をイチから作ろうとする職人にとって、
短納期の仕事が舞い込む中で、なかなか自分の作業に集中することができない。
その点、クレモナでは、もちろん修理などの仕事もあるでしょうが、
世界各地からクレモナにバイヤーが集まることで、
新作の楽器を待ちわびている環境があるということがあり、
自分の楽器作りに集中できるのだそうです。
(長野さん、理解が間違っていたら許してください…。)

なるほど、なるほど。

やはり、長野さんにとって楽器作りが天職であって、クレモナが生活する場所であって、
本当に合っているんだなぁと思い、うらやましい気持ちでお話を聞いていました。
ましてや、製作者の魂のこめられた楽器を借りて、
その製作者の横で演奏させてもらえるなんて、非常に幸せで光栄なことです。
が、
それと同時に、楽器の魅力を引き出す責任を感じつつ、
演奏ではとても緊張してしまいました。

でもそんな私の緊張をよそに、
長野さん製作の楽器は、温かみがあり、かつ、イタリアの気候と同じようにカラッとして、
透き通るような伸びやかな音も、強さを持った深い音も表現できました。
あ、そんな偉そうなコメント、自分の演奏技術では魅力を出しきれず、畏れ多いことですが、
長野さんの楽器は表現力豊かでしなやかな気がして、
非常に簡単な言葉に直すと、好きです。

長野さんの楽器も今すでに銘器ではありますが、
クレモナであの有名なストラディバリが製作したヴァイオリンが、
300年経った今、最高峰の楽器だと言われるのと同じように、
これから300年後、
クレモナで作られた「ナガノ」が最高峰だと言われているよう願っています。

お客さんの温かさにも恵まれ、
そしてヴィヴィのスタッフの方の細かく行き届いた心遣いに本当に感謝しています。
出演者としても、心から楽しめるイベントでした。
ご来場くださった皆様、スタッフの皆様、大久保様、長野さん、池田さん、
ありがとうございました。

で、せっかくなので写真をたくさん撮りたかったのですが、
自分のデジカメを持っていき忘れてしまい、悔みました。
どなたか、よかったら写真を私にください


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