大人になってから楽器を始める初心者自身にとっては、
指導書に書かれていることが
必ずしも自分にとって「正しいこと」とは限らないということを以前言及しました。
では、どのようにして「正しいこと」を知るか、というのが問題になります。
どのようにして「正しいこと」に近づけるのか、という方法も考えなければなりません。
もちろん、レッスンについていて指導を受けていれば、
受講者に合わせた指摘を受けることができる可能性が高いのですが、
部活動やサークル活動などで、体系的な指導を受けられない場合、
例えば、2 人組で対面で練習を行う、鏡を使う、
何らかの自己を検証する方法を見つけることが、
自分に合ったボーイングを身に付けるためにも必要なことと考えています。
最近で言えば、おすすめは
スマホでの動画撮影(練習状況の“自撮り”)です。
何でも便利なものがあるこの時代、上達のためには使わない手はありません。
他人のボーイングは自分にとって正解ではない?
ボーイングには、指導書や理論書の数だけ見解があります。
つまり、念頭に置いておくべきは、ボーイングは人それぞれであるということと、
プロの演奏家のボーイングをそのまま真似しようと思ってはいけないということです。
プロのオーケストラをみると、
奏者一人一人のボーイングが非常に違っていることに気がつきます。
小さい頃からヴァイオリンの練習を積んできた人は、
長い間に体の使い方を覚えていて、
経験者は知らず知らずのうちに各々に合ったボーイングを可能にしています。
アマチュア、特に身体的成長を終えてからヴァイオリンを始めた人が、
特定の奏者のボーイングを自分の身体へのフィット感を気にすることなく、
機械的に真似することは危険です。
指導者の立場からすれば、
指導者である自分のボーイングだけを「正解」として
身体的成長が終わった生徒に強制してはならないということです。
体つきや運動の仕方が異なる人、
これまで自分と全く異なる筋肉のつき方/衰え方をしてきた人に
自分の体の動きを真似して覚えさせようとする教え方は、
幼児に教える場合などと違って、多くの場合不適切であると考えられます。
平均した音を出すには
篠崎弘嗣『篠崎バイオリン教本1』全音楽譜出版社 より
弓の根元では人差指をゆるめにして中指でしっかり持ち、小指は丸く
というような、市販の教則本によく見られる記述でも、
この考え方が当てはまるボーイングスタイルをしている経験者は確かに多いのですが、
当然、当てはまらない人もいます。
ボーイングに関しても、初心者は、
さまざまな指導・忠言が、必ず自分にも当てはまると思いこんでしまわないことが大切です。
